「Intelligence Bulletin」1942年10月号

アメリカ軍は、この情報誌を1942年から46年まで発行していた。可能な限り最新の情報源から得た情報に基づいて敵の戦術や兵器を掲載している。

日本軍は日清日露、第一次世界大戦を経験して総力戦、物量戦を経験したはずで、「持たざる国」としての戦争の仕方を学んだはずであった。

小畑敏四郎は「一気呵成」に敵をせん滅すべしとし、石原莞爾は満州を経営して「持てる国」になってアメリカと対決すべしとしていたが、両者は権力闘争の末に中枢から放逐されてしまった。

結果として、「精神力」において「持てる国」となったつもりで総力戦に突入していった。結果は「玉砕」と「特攻」だった。

対するアメリカ軍では、日本軍を徹底的に情報分析をし、中国人と日本人の違いを前線の将兵に伝えようとしている。というのは、中国軍はアメリカと同盟国の軍隊であるので、アジア人を皆殺しにするわけにはいかなかった。

記事ではシャワーを浴びているドイツ人とイギリス人を見分けるのが困難なのと同様に、日本人と中国人をみた目で見分けることは困難であるとしている。

見分け方として「Robins fly」を発音させると日本人は「Robins fry」になり、中国人だと「Lobins fly」になるのだそうだ。また、日本人の、特に農民上がりの兵隊は下駄を日常はいているので足の親指との間が開いているという特徴も挙げている(robinとは「コマドリ」のこと)。

人種的蔑視をし過ぎると、同盟国である中国すらも蔑視することになるため苦慮していたが、見分け方が掲載されたのは1942年だけであって、実際には見分け困難であったということ。

日本兵の短所は「射撃が下手なこと」「予想外のことが起きるとパニックに陥ること」「自分でものを考えることできないこと」と分析している。これはビルマ戦線のイギリス軍の分析でも共通している。

ビルマ戦線でも合言葉に「L」をいれてあり、「L」が発音できないと撃ち殺された。

ニューギニア戦線で日本軍と戦った従軍者によると「勝てそうだとなると粘り強くなり、負けそうだとなると途端に弱くなり死を恐れだした」

「日本軍と日本兵」を読み始めました。まだ、読み始めたばかりですが、アメリカ軍が見た日本軍の情報分析という視点が面白いと思っています。特記すべきことがあったら続報します。長く生きたければ「L」の発音は身に着けておく方がいいかもしれません。