マイナンバーカードのトラブルとは
トラブルは同時に4つの局面が同時に進行している。
まず、マイナンバーカードには全く関係がないものとして「コンビニで証明書を発行」する際に、違う人の証明書(住民票など)が発行されてしまう件は、富士通が自治体に提供しているシステムの不良に起因している。
日本にある1,700の自治体が別々にコンビニ発行のシステムを開発している。この発注の仕組みとして自治体予算として開発するために、このような愚かな仕組みになっていて、今回の件は富士通の持つ問題に起因しているとのこと。
「公金受取口座」の問題としては人為的ミスと戸籍に関する問題がある。人為的ミスは注意すれば防げる。他方、親子が絡む問題として赤ちゃんのマイナンバーカードに公金受取口座を紐づける際の問題。
これは、マイナンバーカードに読み仮名がない。一方の銀行口座にはカタカナしか入っていない。そこで、マイナンバーカードにフリガナを付けることとなった。そのさいに必要となるのが戸籍になるが、この戸籍にはフリガナがない。そこで戸籍法を2023年6月に改正して、読み仮名が必須となった。
この作業は数年かかる。
政府に責任があるのは「健康保険への紐づけ」である。健康保険証は国民への強制であるが、マイナンバーカードは任意である。返納だってできる。強制の健康保険証を任意のマイナンバーカードに一本化して、強制の紙の健康保険証をやめるという話には道理が立っていない。
健康保険証を一本化するなら、まず、マイナンバーカードを強制にしなければならなかった。
健康保険証の紐づけのミス以外は、数からすれば優秀な方であったが、健康保険証の紐づけは拙速にやるべき筋合いのものではなかった。
2024年の秋に紙の保険証をやめるという話ありきにしてしまったがために起きているトラブルである。政府が行うべき手順は、まず、公金受取にまつわる戸籍やマイナンバーの読み仮名の整備が完了してから健康保険証に手を付けるようなスケジュールに変更すべきである。
マイナンバーカードの名前を変えるとか暗証番号を無くすなどは荒唐無稽な話で、ここまで来てしまった以上は信用回復が不可欠であり、信用が取り戻せた段階でマイナンバーカードを強制にするという段階を負うべきである。
結論
ここまでITのレベルが低いことの原因は、政治家と官僚の「IT音痴」による。
ビジョンを語る人間がいないため業者の言いなりにならざるを得ない。オリンピックで電通に依頼しなければ何もできないのに、大きなお金が動くことから利権だけに絡もうとすることと構造は同じである。
つまり、どういうい理由からなのかはわからないけれど日本が敗戦後70数年で先進国になっているのは、単にモノづくりが時代にあっただけのことで、権力者の思考力は途上国と基本は変わらないレベルであるということ。
政治家や官僚のリーダーシップで先進国になったのではないのに、何の根拠もなく彼らが日本という国家を主導しているという思い上がりの錯覚をしている。
先進国だからITもうまくいくという根拠のない愚かなことを何回も繰り返している。なぜ繰り返すかというと、役人は責任を取らないし、政治家は役人に任せていて、中身のことなど分かっていないから、何回やってもこのざまになる。
結論は、入れ替えること(政治家も政治も官僚も)。それしかない。権力のある所に利権はあっても責任がない。こんなに楽しい権力者パラダイスが続けられるのも日本が平和だからだ。