反物質とは何か?
この宇宙から「反物質」が消えた謎とは、どういうことかというと、本来なら「物質」と「反物質」は対で存在していたはずなのに、どういうわけか「反物質」が無くなってしまっている。
この「反物質」を予言したのがポール・ディラック(1902-1984)で、その後、その存在が確かめられた。
物質は電気的にプラスの核の周りをマイナスの電子がまわっている。反物質は電気的にマイナスの核の周りをプラスの陽電子が回っている。物質と反物質はペアで同時に生成される。そして、物質と反物質が出会うと「対消滅」する。物質と反物質の質量がエネルギーに代わるので、後には何も残らない。
エネルギーから物質が生まれたとき、反物質も生まれた。そして物質と反物質が出会うことで、再びエネルギーに戻る。これが宇宙が誕生した138億年前の姿であった。
とことが、現在の宇宙には物質だけが残っている。そこで、科学者が現在考えていることは、物質が生まれたときに反物質も生まれたが、何らかの理由により反物質の10億分の1が「物質」に変わってしまった。そこで10億分の2が物質として残ってしまったと計算されている。
なぜ、10億分の1が反物質から物質に代わってしまったのかについて研究者が考えていることは、いくつかあるようで、その一つが「ニュートリノ」。ニュートリノだけが、物質と反物質の区別がない可能性がある。ニュートリノは電荷が無いので、ほかの物質に反応することがなく、何でも通り抜けてしまう。
このニュートリノと反ニュートリノが、反物質の謎を解くのではないかと期待されている。ポイントはあまりに面倒なの端折ると、キセノンが崩壊するときに電子2個とニュートリノ2個を放出するが、そのタイミングでニュートリノが消滅したら、ニュートリノと反ニュートリノが「対消滅」したことになる。
やっていることは、茨城の東海村から295キロ離れた岐阜県のスーパーカミオカンデに向けて2.5秒ごとに730兆個のニュートリノを発射して、ニュートリノと反ニュートリノの出現回数の違いを調べている。
この違いが、性質の違いになる可能性があり、もっとデータをとることで物質と反物質の謎に迫れると考えられている。
スイスでは「水素」と「反水素」で実験をしているようです。ニュートリノ同様に、水素と反水素の違いが分かれば、ここから宇宙がなぜ物質ばかりになったかが分かるかもしれないということ。