「失敗」の原因となる欠陥
2023年10月10日から2日間にわたる全国銀行データ通信システム(全銀システム)の障害についてNTTデータと全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、11月30日に金融庁に報告書を提出した。
12月1日には共同会見を開き、詳細な原因と再発防止策を発表していることが述べられている。
このトラブルは全銀システムの50年の歴史で初めてのものであり、オンライン銀行間送金ができなくなった影響が大きかったと報じられています。
トラブルの原因はメモリー領域のオーバーフローによるテーブルの破損であり、これを防げなかった詳細設計書の見落としも指摘されている。
それは、たった「10行」のプログラムコードに原因があったとのこと。
記事では、NTTデータが異例の措置として会見を開いたことについても言及されており、通常、ベンダーは情報開示に消極的な姿勢をとる傾向がある。
しかし、NTTデータは重要な情報を説明する必要性を認識し、会見を通じて事案について説明したと報じられている。
また、NTTデータの社長は、トラブルの原因と背景を明らかにすることが重要であり、他のベンダーにも新たな知見となる可能性があると述べている。
JAXAでも、2023年3月7日、日本の次期大型ロケットとして開発されたH3ロケットが、初号機でいきなり打ち上げに失敗している。22年10月12日、約20年ぶりにイプシロンロケット6号機の打ち上げにも失敗している。2023年7月14日には、開発中の小型ロケット「イプシロンS」の2段機体の燃焼試験中に爆発もしている。
ようは、何と言おうが、失敗が多発しているということで、それには官も民も横断する「なにか」が影響しているとしか思えない。
そのうえ、H3ロケットには、バックアップもしていない「だいち3号」という文部科学省の衛星が搭載されていたので、こちらの計画も数年遅れるという惨事になっている。なぜ、バックアップ体制がとられていないのかと言えば、打ち上げが失敗する前提でいなかったからで、これなども発想として「失敗」している。
まさにミッドウェー海戦が再来しているかのようだ。意思決定者を含め、日本型組織のひずみが如実になっているのが、これらの「失敗」の原因としか言いようがない。単なる技術や「10行」の問題で片づけては、再び重大な局面で失敗する可能性が高い。