アベノミクスは何だったのか?
内閣府が発表した日本の一人あたりGDP(米ドルベース)がイタリアを下回ってG7で最低になりました。これは、円安による影響が大きいですが、その円安を誘導したのが「アベノミクス」だったわけです。
この政策は「失敗」だったのか「成功」だったのかは、立場によって評価が分かれます。
企業収益は史上最高益を出していますが、賃金はさほど上がっていません。物価が上がった分、実質賃金はむしろ下がってしまっています。
この原因は「アベノミクス」にありました。「アベ・クロ」で円安誘導をしたことから、ドル換算で相対的に日本の地位は低下しました。
その反面、輸出企業にとっては未曽有のチャンとなりました。その上、日銀が大量に国債を買い漁ったおかげで、銀行には大量の資金があり、それを国内ではなく海外投資に使ったことで、ますます大企業には福音となりました。
その反面、輸入物価があがり、国民にとってはデメリットしか生まれませんでした。
一説では、就任当初の黒田さんは「円安→輸出拡大→景気回復」という昔ながらのメカニズムを考えていたようで、それでインフレの2%が達成できると思っていたという説もあるようです。
ところが大企業は、黒田さんのような官僚上がりの自称「優秀」な頭脳の思惑とは違って、せっせせっせと海外投資に有り余る資金を欧入することで対外直接投資の収益は史上最高になった代わりに、賃金が相対的に高い日本の労働市場は全く振るわなかったです。グローバリズムからすれば当然の帰結です。
バランスシートの負債として、「借入」「社債」「手形」などは横ばいだったのに、「内部留保」だけは激増していました。
人件費が安く、かつ金利も高いアジアに投資をしまくっていました。日本の対外直接投資は世界最大であった。邦銀の対外投融資残高は2010年から45度くらいの右肩上がりで420兆円くらいの投融資となっている。
日本に資金を置いてもゼロ金利だから、資金は海外へ向かう。そこへ日銀が国債を買いまくったのだから銀行に有り余るお金は、当然海外へと向かう。同時に、賃金の安い海外へ仕事が流失するわけで、日本国内にとって大企業と銀行を除けば、アベノミクスは何もいいことはなかった。
日本の国内直接投資は、GDPの5.2%とOECDで最下位。異常なことである。これを何もコントロールしてこなかった政府は「無策」だったか「無能」だったか、はたまた経済界の言いなりだったか。おそらく献金とパーティ券で言いなりだったのだろう。
維新の言いなりで万博やっている政府の頭脳では、「新しい資本主義」など、絵に描いた餅レベルにもなってもおらず、単なる「放屁」同然の「放言」でしかないのが、現政権の実態であり、実力だ。匂いすらない!