飛んで火に入る夏の虫

ナショナルジオグラフィックに「なぜ虫は光に群がるのか、長年の謎をついに解明」という記事がありました。

虫が明るい場所に向かって飛ぶのは、光に引き寄せられるのではなく、光の方向を「上」と勘違いしているせいだった。

とのことです。

それを確かめるために光源の向きを変えたり、面で明るくしてそれを下に持って行ったりして確かめたようです。その結果として分かったのは、光は「上」にあるはずで、それを頼りにして虫たちは飛んでいるということです。

都市のような明るさならまだコントロールできるでしょうけれど、夏のキャンプの焚火のような点の明かりが地上にあれば、それを太陽と勘違いして上に向かって飛んでいるつもりで、焚火の中に入ってしまうということです。

中国、南北朝時代の歴史を記した書物、『梁書(りょうしょ)』に「飛蛾(ひが)の火に赴くが如し」という一文があります。これが転じて「飛んで火に入る夏の虫」になったのだとか。しかし、知らずに災いに向かっていくことを表した「飛んで火にいる夏の虫」に対して、「飛蛾の火に赴くが如し」は、「自ら好んで災いに向かう」という意味合いの違いがあります。

とのことで、知らずに禍に向かうのではなく、敢えて禍を承知の上で飛び込んでいくのだそうで、大きく異なっていますが、虫は明かりを禍とも思っていないようですので、日本的使用のほうが正鵠を得ているようです。

[NHKスペシャル] デメニギス・ホタルイカ・クロカムリクラゲ 深海で繰り広げられる、不思議な発光生物の戦い

この動画では、発光器を持っている魚は、何のために光を放つのかについて解説しています。光が届くか届かないかあたりにいる魚の発光器は、下方に向かって光を放つそうです。そうすると、上を狙っている魚にとって、海面の明るさに同化して見えにくくなることで天敵から逃れているのだそうです。

魚も虫も、光は方向を示す重要な要素だということでした。

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この魚は「デメニギス」といって、水深400-800mを主な生息域とします。透明な頭の中にある緑色の目玉は真上を向いています。その理由が上方の獲物を下方の暗い梅の中で待っているうちに頭が透明になってしまいました。

「自然」とは、人間や神の創造と想像をはるかに超えた営みであるとつくづく感じます。これを「偶然」とか「突然変異」などと言う”ありてい”な言葉ではいい表せないという方が自然な感想だと思います。