ヒトに尻尾が無い理由

サルから分かれたヒトにシッポが無い理由を見つけたそうだ。

ヒトとサルは2500万年前に遺伝的に分岐した。

脊椎動物の尻尾は100以上の遺伝子が関連していることが分かっている。このうち、ヒトは1つ以上に変異が生じて尻尾を喪失した。

分析の結果、TBXT遺伝子にサルにはないDNAが挿入されていたことが判明した。

トランスポゾン」というDNAの断片がさまざまな遺伝子に挿入されることでも進化が促進されることがある。類人猿のTBXT遺伝子に挿入されていることを発見したDNAは、「Alu要素」と呼ばれるトランスポゾンの一種であった。

トランスポゾン (transposon) は細胞内においてゲノム上の位置を転移 (transposition) することのできる塩基配列である。動く遺伝子、転移因子 (transposable element) とも呼ばれる。DNA断片が直接転移するDNA型と、転写と逆転写の過程を経るRNA型がある。

wikipedia

説明は、ちょっと面倒な話になっています。順を追って解説すると、DNAはRNAに転写されてからタンパク質にコードされるが、その際に「スプライシング」というプロセスでRNAの一部が排除される。そこでタンパク質にコードされる遺伝子配列を「エクソン」と呼び、コードされない部分を「イントロン」と呼ぶ。

類人猿における尻尾の喪失に関連するAlu要素はスプライシングで排除されるイントロンに挿入されていた。

実験でマウスのTBXT遺伝子にAlu要素を挿入したところ尻尾が欠損したし、尻尾を失ったマウスでは神経管の形成不全による「二分脊椎」の有病率が高いことも判明した。二分脊椎の説明は簡単な話ではないので割愛する。

二分脊椎の発症数は分娩10,000件に6名と言われているが、尻尾を失ったトレードオフになっている可能性の発見にもなっていそうだ。

三重県松阪食肉衛生検査所のホームページには、尻尾についていろいろなことが書かれている。「人間における尻尾の退化は直立姿勢を取り、二足歩行をして草原を走り回る生活をしたことから、尻尾の利用価値がなくなったためとする説」を紹介している。

必要がなくなればなくなるというよりは、尻尾がないことが有利に働いた種が生き残ったと考えるほうが進化論的かもしれない。例えば、尻尾がないとパンツがはきやすいとか。