巨額損失の背景
大和銀行(現りそな銀行)のニューヨーク支店で1100億円の損失を出した事件が起きた。1983年に5万ドル(当時のレートは1ドル220円)の損失を出した。これを報告すれば、ペナルティは受けただろうけれど、それで終わった話であったが、この損失を取り返そうとした。
これは、よくある話で、ちょっとした失敗を隠そうとする。それがお金のことなら取り返そうとする。
損失は顧客から預かった債券を売って穴埋めした。特に、「やり手」「有能」と言われるほどに、失敗を隠そうとするし、有能なのだから取り返せると思うことはよくある話。
12年後の1995年には11億ドル(1ドル100円)になっていた。そこで頭取に告白。大和銀行としては大蔵省に報告をする。
しかし、大蔵省よりFBIのほうが早く事態を把握しており、大蔵省からFRBへの報告が6週間後になったので、日本の不祥事対応にアメリカは不信感を持った。大蔵省は事実発表を遅らせるよう指示したとのことで、公表が遅れたことで大和銀行に厳しい処分を下す結果をもたらした。
1996年に大和銀行は350億円の罰金を払ったうえで、アメリカから追放になった。本人は禁固4年、罰金200万ドルになるが1998年に仮釈放されている。罰金はどうしたかは不明。
オリンパスは、社長ぐるみで過去からの損失を先送りしており、2011年に公表された。オリンパスのケースではバブル景気に便乗して金融商品に投資しており、バブルが崩壊することで損失が出ると、リスク投資に手を付け損失を拡大させてしまった。損失の穴埋め額は1348億円だった。
大王製紙でも当時の会長がカジノでの損失をグループ会社から106億円を不正に引き出して穴埋めし、特別背任で逮捕されている。
水原一平の違法賭博の真相は、すっきりと報道されていないけれど、基本的には巨額損失は、人のカネだから生じている。アメリカではどういう処置があるのかは不明だけれど日本でいう自己破産のような「フレッシュスタート」(新たな出発)という制度があるとのこと。この選択をしておけば他人を巻き込むことはなかった。
下記の動画は、1500億円の詐欺をして懲役15年になった齋藤栄功さんのインタビューです。少し長いですが、結構、「なるほど」と思いました。