皮膚細胞からできた卵子と精子

幹細胞を活用した革新的技術である体外配偶子形成(IVG)により、福音をもたらすと同時に様々な社会的課題を抱えることになる。

IVGとは、卵胞を卵巣の制御から切り離し、体外で卵母細胞を十分な大きさまで発育させようとするの が体外発育(in vitro growth、IVG)のこと。「vitro」とは「試験管」。

体を構成するさまざまな組織に成長できる「多能性」を持つ幹細胞を使って、体外で卵子や精子(配偶子)の発生を再現する。ということは、女性の幹細胞を使って精子をつくることも可能になる。自分の細胞から精子を作って、自分の自然排卵によって妊娠することも不可能ではないが、疾病や奇形の確率が上がるが女性同士のペアなら子をなすことは可能になる。

2012年にはメスのマウスの尻尾の皮膚細胞から作ったiPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養して卵子を作り、通常の精子と体外受精させてマウスの赤ちゃんを誕生させることに成功している。

23年には、オスのマウスの尻尾の皮膚細胞から卵子を作り、別のオスのマウスの精子と受精させて、2匹の遺伝的父親を持つマウスを誕生させているが、とはいえ、子宮がなければ子を産めない。

IVGに具体的に言及している法律や規制は、今のところはない。

IVGが実用化されれば、「採卵のためにホルモン注射を繰り返し、外科手術を行う必要がなくなる」「生まれつき卵巣が機能していない女性や早期閉経後の女性が卵子を作れる」「同性カップルが2人のどちらとも血縁関係がある子供を持てる」というメリットが考えられる。

さらにいうなら、女性の年齢とともに卵子の質が低下するがIVGなら新鮮な卵子を作ることが可能になることも利点としてあげることができる。

そのうち、芸術性が高い子とか、頭脳が明晰な子、容姿が端麗な子のようにデザインして子をなすことも可能になる。問題は「道徳」「倫理」になるけれど、平安時代の貴族や皇族は、IVGのような先端技術はなかったけれど、たくさんの女性と交わることでたくさんの子をなしている。

初期段階の技術でもあるが、少子化に使おうとする独裁者が出てくる可能性は否定できない。ルーマニアでは、チャウシェスク政権において人口増加が経済成長につながるとの考え方から、中絶を禁止する法律が制定され、子供のいない人々に対して税が課されたことで、子供が急増したが多くの捨て子を生み出す結果となった。

つまり、子供が欲しい家庭にとっての福音よりは、チャウシェスク同様に、労働者や兵隊にするためにIVGによって子供を増やすようなことを考える独裁者は、きっと登場するだろう。

いかなる理由があったとして、主権国家に侵略しているにもかかわらず、常任理事国で居続けられる国連が世界平和の役に立つとは考えにくい。世界平和の役に立つためには、もっとまともなルール改定が不可欠であることは自明であるが、まともな国連にしようとしても、まともではない国々が少なからずいるのだから、まともには決してなり得ない。

同様に、日本の政治も与党であろうが野党であろうが、政治で飯を食おうとする「政治屋(←石丸伸二)」のための職場に成り下がっており、本来の政権機能は雲散霧消しているのも、国連同様に役立たず政治屋集団となっている。

「神輿は軽いほうがいい」ということで、軽めな神輿をずっと担いできた結果が「失われた30年」になっているが、「獲得の30年」だったのが官僚。神輿は軽いほうがいいと9人の候補を見ながらほくそ笑んでいる。