アメリカにとっての同盟国とは

トランプ政権は、ウクライナへの支援を「金」で返して「感謝の弁を述べよ」と要求している。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスの大統領執務室で口論になったウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殴らなかったのは「自制心の奇跡」だと称賛した。

プーチンのポチ、ドミトリー・メドベージェフ/ロシア国家安全保障会議副議長は「生意気な豚(ゼレンスキー)がまともに一発食らった。ドナルド・トランプが正しかった」。

中国系のメディアは、アメリカにとっての同盟国は「碁石」にしか過ぎない。いざとなれば「捨て駒」というような書き方をしていた記事を見た。

台湾系の記事では、アメリカの同盟国支援は、「取引」によって決まるのであって、当事国とは無関係の大国間の「利害」でしかないことを示したという内容のようであった。

さて、アメリカはウクライナを支援した。それはロシアという国際法上明らかに違法な「侵略」行為が、世界の平和に対する侵害行為であったため、自由と民主主義を守るという観点からの支援ではなかったということだった。

実際にはバイデンの民主党が支援していたので、兵器産業への忖度でもあった可能性は捨てきれない。民主党と戦争は親和性が高いことは事実。

トランプは、支援する以上「金」と「感謝」が不可欠であるという、単なる「取引」でしかなかないと主張する。これは、ヨーロッパだけに限らない。日本も「同盟国」である以上、事が起きれば「金」と「感謝」を要求されることが明確に示された。

台湾がウクライナを支援してきた背景は、似た立場に置かれうる可能性が低くないからである。台湾の経済人の大方は親中派であり、トランプはTSMCによるICチップなどの貿易赤字を解消しようとしている。

台湾の存立は、そのICチップを世界に供給していることが国家の防衛にとって重要なことであるが、それをアメリカに工場移転すれば、それだけ国家として防衛価値が低下してしまう。

それでも、台湾にはアメリカに対するアドバンテージといえるICチップ産業があるが、翻って我が日本は、もし米中で事が起きた場合には兵站としての「立地」くらいしか提供するものがない。あとは「お金」。

石破総理がこの件に関して、どういう立場を表明したのか検索してみたら、脇の「AI」が「『石破』という名前は、日本の政治家石破茂氏を指している可能性がありますが、ゼレンスキーとトランプとの間の口論に直接関係があるという情報は見当たりませんでした」だった。

確かに、減税であろうが高額医療費であろうが、将来を見極め最善策を模索して、自分の哲学として発言していることではない。総理大臣である以前に財務省官僚のスポークスマンでしかなく、国家のためにするべきことがあって総理大臣になったのではなく、単に「総理大臣になってみたい」でなったような人材でしかない。

これは、郵政を壊そうとして実質壊してしまった小泉純一郎以降、ほぼ大同小異の総理しか輩出できていないことで如実に示されている。小泉淳医師老以前の総理にも、さほど印象が残ってはいない。

2月末時点の調査では、石破茂内閣の支持率は44.3%だった。ただ、年代別でみると70歳以上の支持率が6割にのぼり、30代以下の支持率は2割だった。高齢者の支持率が際立って高い実態が浮かび上がる。

理由は不明。高齢者にボケが入っているか、高齢者は考えることを辞めている可能性はかなり高い。

男女・年代別でみると、70歳以上の女性の支持率が65.6%で最も高かったとのこと。考えにくいけれど、これが日本実体とするなら暗たんとしてしまう。

成田悠輔の「集団自決論」は言葉が極端であったけれど、いわんとすることは「社会からの退場」「隠居」しろということ。存在自体が、社会の発展にとって阻害要因になっている。

「社会的な切腹でもよくて、過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤー(階層)で多すぎるのがこの国の明らかな問題」
「まったく会話にならなかったりするような人たちが社会の重要なポジションをごくごく自然に占めている」

こんなことが、国家にとってマイナスに作用していることを真剣に考えなければ、衰退の加速が増すことはあっても、上昇は難しい。まして、ちょっと前までは「世界の保安官」だった大国が、たんなる「平和ビジネスの商人」に堕している情勢において太刀打ちできるようには思えない。

単に選挙での集票として高齢者を持ち上げているだけの政治には、国家としての活力はもとより、知的レベルを下げるだけで、まさに今の政治が如実に現実を語っている。