iPS細胞で精子と卵子を作れば...
細胞と言えば、大きく分けると「体細胞」と「生殖細胞」になる。そこで考えられるのが生殖細胞をiPS細胞で作ることになる。
事実、オスのマウスの体細胞から卵子を作って受精させメスのマウスの子宮内に移植して、親が両方ともオスのマウスを作り出す実験が成功しているという。
卵子の性染色体は「X」が二つあり、精子の性染色体は「X」と「Y」がひとつづつになっている。よって、メスの体細胞から精子を作ると、その性染色体は「X」しかないから、メスの卵子にメス由来の精子を受精させてもメスしか生まれないことになる。
この手の研究はES細胞によってメス同士の犬から子犬を作り、オス同士の犬から子犬を作ったそうだけれど、メス同士から生まれた子犬は大人になるまで成長して繁殖力もあったけれど、オス同士から生まれた子犬は数日で死んだそうだ。なぜ、死んだかは原因が書かれていなかった。
大阪大学大学院医学系研究科では630個の胚のうち、子のマウスに成長したのはわずか7個だけだったが、生まれたマウスには生殖能力もあったとのこと。
不妊治療には、ホルモン投与によって採卵したり、人為的な処置を加えなければならず、そうしたことから解放されるという面が考えられるけれど、この研究方法で人間の細胞から卵子を作ろうとすると、培養にかなりの時間がかかってしまうらしい。
その時間の中でどういう変化が起きるかはわからない。事実、一卵性双生児でも個体差が起きるのは、一つには産道を出る時間差が影響していると書かれていたものもあった。
人間にも適用できるようになれば、女性なら自分の卵子に自分のiPS由来の精子を受精させて自分の細胞だけでできている子を産むことができるようになるけれど、遺伝子由来の疾病などの可能性も高まるだろう。
当然、同性カップルでも子を作れることも可能となる。次なる挑戦は絶滅危惧種への適応になるだろう。