「マニュアル:manual」とは?

マニュアル

マニュアルとは、業務に関するノウハウや業務全体の進行方法をまとめたドキュメントであり、「業務全体の概要や流れ、ルールなど」を表すものです。

手順書

手順書とは、作業の工程や単位作業の進め方をまとめたドキュメントです。

というような説明がされているのを結構目にします。そこで、英英辞典で「manual」を調べてみると、

手作業で行う労働(優れたスキルは必要ないようです)。違う説明では「何かをする方法、特に機械の使い方について説明する本」とあります。

違う辞書には「頭ではなく、手と体力や能力を使うこと」とあり、ようするに我思うに、産業革命において機械化がはじまり、それまでの手作業が機械作業に代わる過程で、誰でもできるように説明する必要が生じ、それを文書にしたものを「マニュアル」と呼ぶようになった。

a book giving instructions on how to operate a machine, piece of equipment. 「機械や装置の操作方法を説明する本」

のように説明されており、例文として

Consult the manufacturer’s instruction manual. 「メーカーの取扱説明書を参照してください。」
a two-inch-thick training manual. 「厚さ2インチのトレーニングマニュアル」

のような具合で、冒頭に説明したような解釈は、少なくとも英英辞典には書かれていないようです。

断定はできませんが、日本だけの独自な解釈を一部の人たちが勝手な解釈をしていると言えそうです。

「マニュアル」とは「手作業」のことでもあり、そこから派生して「手作業に代わる機械作業において誰でもが使えるように解説したもの」のことと解するべきでしょう。つまり、「手順書」であり「操作説明書」であるわけです。

それ以上でも、以下でもないと考えるべきです。

江戸時代に、志筑忠雄は「zwaartekracht」というオランダ語を「重力」と「引力」と使い分けて訳しました。オランダ語で「重力」は「zwaartekracht」で、これは「zwaarte(重さ)」と「kracht(力)」を組み合わせた言葉で、重力は万有引力と同じ意味で使われるのだそうです。

英語でいうところの「重力=gravity」や「引力=attraction」で、ニュートン力学を理解することは、江戸時代の人に限らず現代の人間にとっても、イメージを想起できないアルファベットの羅列に意味をあたえることから始めなくてはなりません。

それに比べると「重力」や「引力」には、意味を想像することができる概念性があります。それからすれば「manual」を「マニュアル」とカタカナにしただけで日本語化している芸の無さには、江戸時代の通詞たちの努力に比べると残念なだけではなく、大幅な日本語の後退だと思います。

志筑忠雄が今の世にいれば、「manual」は「手順書」「手続書」あたりに訳したと思います。「manual」に「手」は不可欠な要素だからです。

概念化ができていないから、勝手な解釈が横行することにもなっているようです。カタカナのまま概念化し、意味を付与しようとすることは、少なくとも日本語能力の欠如を明確に表していると言えるでしょう。

「paragraph」も似たようなものですが、これは別の項に譲ります。