「e-文書法」の目指すもの
2005年あたりに「e-文書法」が施行されている。従来法令により書面(紙)での保存が義務付けられていた国税関係書類などの法定保存文書を、電子データで保存することを容認する法律のこと。
紙文書をスキャニングして電子化することも認められている。
電子データは、容易に改ざんできるので「真実性」と「可視性」が求められている。現実には近畿財務局(国)において決済された文書に改ざんをさせているような事例も発生している。このことも、容易に改ざんできない仕組みにしておけば自殺者を出さないで済んでいた。
法定文書を電子化しようとする目的は、保存スペースの有効利用や、それにかかわる人件費の削減が考えられる。とはいえ、紙文書をスキャニングするのにもコストが発生する。ワードやエクセルなら、いくらでも書き換えが可能である。
電子化されるメリットは、検索性の向上を上げることができるが、漏洩や改善の可能性も格段に上がる。さらに電子化は電源を喪失すると全く使えない。
何年か前に「自治体クラウド」というクラウドシステムがクラッシュしたことがあった。そのとたんに、自治体クラウドを使用していた自治体は大混乱になった。そのうえ、システムが復旧したのちにもデータは完全に復元できなかった。
紙文書は火事や水害には無防備だし、電子化すれば漏洩・消失への危惧がある。
紙文書は物理的にボリュームが分かるので廃棄の必要性も保存年限を守ることで適正化を図ることは可能であるが、電子化するとなると廃棄がルーズになる可能性があり管理がずさんになっていく懸念もある。
電子化すれば「すべてよし」ということにはなりそうもない。