「チーム-X」という本

YouTubeでDNAの人事システムを構築したという人の動画を見ていたら、どういう脈絡からだったか忘れてしまったけれど、「チームX」という話が出て、図書館を調べたらあったので予約しようと思ったら3人待ちだったので買いました。

今日調べてみたら6人待ちになっていました。

サブタイトルが「ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方」ということなので藁にもすがろうと思うことには不思議はありません。

著者は「トップWEBマーケッター」と呼ばれているそうです。扱っている商材は「化粧品」と「健康食品」で、どちらもいったん売れればリピートを取りうる商材ですが、化粧品で資生堂やカネボウなどに比べて格段に品質がいいということはなさそうな商材です。では、格段に安いのかというと、そんなこともなさそうです。

にもかかわらず売れているということは、本にも散々書かれていますが、ひたすらに「広告」の力が大きいということになります。

新規の顧客を1日1,000人獲得することを目標としてストーリーが展開していきます。詳しいことは、用語になじみがないのでわかりませんが、ともかく宣伝です。いろいろな媒体に、宣伝を企画し、どれだけ顧客ゲットに繋がっているのかを徹底した数値評価をして改良を積み重ねていきます。

顧客獲得率の高いクリエイティブや宣伝コピーを作れば数字でその日のうちにわかる仕組みです。数字(新規顧客獲得)を生まないコピーやクリエイティブを作れば実働部隊が使ってくれません。なぜなら、顧客獲得数を実働部隊(営業)はコピーやクリエイティブを作った人たちと褒賞(ポイント)を山分けするような仕組みなっているからです。

画像や映像、キャッチコピーや宣伝文の良し悪しは、単に、顧客獲得における訴求があるかないかだけで、ひたすら顧客受けだけが至上のミッションになります。当然、。Yahooでうけた宣伝とGoogleでうけた宣伝ではターゲットが異なるから違うものになるし、宣伝を出す場所によっても異なる宣伝が数字を作るという話。

事実なのかは不明ですが、新規顧客獲得に掛ける宣伝費の上限は1万円だそうです。これで1日1,000人を獲得するならば、毎日1,000万円。月に2億5千万円の宣伝費がかかることになります。年にすれば30億円。それで30万人の顧客をゲットする。

一人が年3万円買ってくれれば顧客数35万人で売り上げ105億円。原価30億円、宣伝費30億円で、従業員300人として一人当たりの粗利益が1800万円というあたりでしょうか。オフィス家賃や光熱水量などの間接費、研究開発への先行投資などを勘案すると、平均所得は600万円くらいになりそうです。

商材は化粧品と健康食品とすると粗悪でない限りは「宣伝」と口コミ(あるいはネズミ講的紹介営業)だけで売るわけです。「宣伝」の力(数値解析、継続的工夫、訴求力など)と予算があれば、売れるということなのだなぁと感心しましたが、少なくとも「チームX」にいる自分は想像できないと感じました。

要するに、普通の車を運転するならチューニングは車検の時と、故障の時ぐらいです。これがF1とかレースの車では、データをリアルタイムで取得しながら調整と改良をし続けていくことと、優秀なドライバーを組み合わせることで競争優位に立てるわけです。

まさに、「チームX」のやっていることは、このようなことで、これに耐えられる人は生き残り、耐えられない人はメンタルやられるか、自尊心を破壊されて去っていくことになるのではないかと、他人事ながら心配になりました。

「チームX」の栄華の裏で死屍累々というイメージを払拭することができませんが、転職しても、ここでの経験で飯を食うには事欠かないのだと思います。ただし、自己実現を希求する職業経験として必要なことなのかはワタシには何とも言えない気がします。

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