地球の気候はどのように制御されているか

放射平衡

地表の温度はどのようにして決まるかというと、太陽エネルギーの量と放出エネルギーの量とのバランスできまる。計算結果は「-18℃」となる。地球自体の内部の熱量は無視できる程度である。

温室効果ガスによりエネルギーのすべてが放出されるわけではない。61%が地球外に放出され、39%は大気が吸収する。

太陽が放出する電磁波は0.2~6マイクロメートルに及ぶが、1.3マイクロメートル以上の波長は大気に吸収されているため、生物の進化において適応の結果0.3~1.3マイクロメートルが可視領域となった。

全球凍結

太陽は徐々に明るくなっており、あと10億年もすると地球は暑くなりすぎて人間は住めなくなる。44億年前の太陽はいまの7割くらいの明るさしかなく、地表温度は「-9℃」だった。そうなると地表は凍るのでアルベド(反射能)を0.8と仮定すると地表温度は「-80℃」ぐらいになり全球凍結していたはずであるが、36億年前の地層から海があったことが判明している。

つまり、40億年前の地球には大気があったということ。カール・セーガンはその大気をアンモニアとしたが、今でも議論がある。

40億年かけて太陽は明るくなってきた。地球上の生命を考えると、地球の射出率が0.58以下でないと地球は凍ってしまう。温室効果ガスがCO2なら0.1気圧以上(今の300倍)必要になる。

24~22億年前と9~6億年前には氷床が赤道付近にまで広がっていた。永久凍土から地球が脱出できた答えは火山活動だった。そのCO2は、海水のCaCO3が吸収してバランスをとっていた。

二酸化炭素と水を使って炭水化物を作り、それが地中で石油や石炭になる。この過程で酸素を放出(光合成)する。

全球凍結が起きた原因はよくわかっていないが、全球凍結から脱出したのちのCO2濃度が低い値で安定しているのは、炭素循環の様式が変化したことを示している。

生物進化

25億年前あたりで酸素を発生する生物が誕生する。推定では地球初期の大気はメタンガスで光合成生物の出現によって不可逆的にメタンがCO2に酸化され、大気の組成が変わった可能性がある。

9~6億年前の全球凍結の直前当たりに多細胞生物が出現した。このことによってプランクトンを食べて糞にして海底に沈降させた。このように、限界を超えても何らかの作用によって元に戻ろうとするメカニズムがあるのであれば、環境問題にナーバスになる必要はないのかもしれない。

環境に適応した生物系ができるのであって、それが人間にとって快適である必然はない。