「台湾アナリストが分析するラピダス」という記事

日経クロステックというサイトに表記のタイトルの記事がありました。2ページ構成で2ページ目は有料です。有料会員ではないので2ページ目は見られません。

台湾に拠点を置くアナリスト集団のLucy Chenさんによると、ラピダスとして2ナノの生産は技術的には可能だとしているようですが、採算に乗せるのは難しいだろうとみているようです。

半導体材料や半導体装置において日本のプレゼンスは高いものの、先端ノード(7ナノ以下)の量産経験がないことと、資金をどうするのかが不透明であるとしています。

現在の日本の半導体製造は40~60ナノだったので、そこから一気に2ナノに行くのは相当の覚悟が必要なようです。TSMCの3ナノでも40~50%の歩留まりからスタートしていて、収益を見込めるのは75%以上になってからだそうす。その間は改善の積み重ねしかないようです。サムスンの歩留まりは20~30%とみられており、まだまだ時間がかかりそうです。

TSMCは4兆円から5兆円の投資をしているのに比べて、ラピダスでは日本政府の補助金は、とりあえずの700億円程度なので、主要8社(キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTおよび三菱UFJ銀行)が、どこまで資金援助をするかにかかるでしょう。政府が1兆円出したとしても、1社あたり5000億円くらい拠出しなければTSMC並みの金額には届きません。

何の技術開発だったか忘れてしまいましたが、東芝や日立から人材が集まったのはいいとして企業文化が違うため、結局はうまくいかなくなったようなことがあったという話を思い出します。

主要8社から人材が出てきて、それをラピダスの経営幹部が取りまとめるのであるなら、経営幹部、それもトップの数人の力量がもろに反映されることと思います。

なぜなら、ラピダスには企業文化が形成されておらず、企業文化は経営幹部が形成するものではなく、実際に働く人たちから醸成されるものだと思いますが、その彼らがそれぞれの出身母体の企業文化を持ち込んでくるわけですから、それをリセットするためには経営幹部の「カリスマ」が不可欠になるのではないでしょうか。

北海道千歳空港の近くに拠点が作られるようですが、その着眼はとても素晴らしいと思いました。このところ失敗続きの「モノづくりニッポン」ですので、なんとしても頑張って欲しいですね。