「悲しい円安」とは、どういうこと?

昨年は円安に対して為替介入がありました。ということは、昨今の円安で介入があるかが投資家たちの関心のある所のようです。

先進国が為替介入するということは、実は恥ずかしいことだという意見があります。そこで出てきた言葉に「モメンタム」という言葉がありました。

モメンタム

momentum」とは、主に「勢い」「弾み」「機運」「契機」「運動量」「推進力」などを意味する英語表現

去年の為替介入には、諸要因の「モメンタム」があったということで、その要因は輸入物価(燃料などを含む)の急激な値上がりがあったところへ円安に勢いがあったので介入したということになります。

今年は、輸入物価は下がっているので、為替の介入はないと考えられている。ドル円の動きは、日米の金利差に沿っているので、慌てる必要はなさそうですが、アメリカのインフレ対策としての利上げが年内、あと何回行われるのかによっては、ドル高が進む可能性が排除できないというところのようです。

円安が進んだので反転を狙って円買いが進んでいるようなので、その逆を張るヘッジファンドがドル買いをするといううわさもあるようで、為替の動向は急激なドル高円安になる可能性があるようです。

去年、使われた言葉で「悪い円安」というのがありましたが、これは日銀がアベノミクス以来、円安誘導をし続けたことで円安が進み、諸物価高騰の原因となったという前提から「悪い円安」という言葉が使われました。

最近の日本の円安は、デフレ脱却が迫っているという期待感と、株高があり、その株高には円安は有効に作用しています。

ファンダメンタルズ

国や企業などの経済状況を示す指標のことで、「経済の基礎的条件」と訳される。 国や地域では、経済成長率、物価上昇率、失業率などがこれに当たり、個別企業では業績や財務状況、PER(株価収益率)などが挙げられる。

アメリカの利上げの限界が見えてくればドル円の状況もひと段落つき、アメリカの経済状況によってはドル安円高基調に反転する可能性が高い。

円の実効為替レートを見ると、1995年から比べると今は半分以下になっています。これこそが「悲しい円安」の実態を示しています。為替相場は、その国が稼ぐ力を意味している。日本は稼ぐ力が減退してきているので円安が進んでいる。今の日本の株価は円安にならなければ上がらないわけで、それだけ競争力が弱まってしまったというのが事実のようです。

かつては十分な円高でも貿易収支は黒字だったのに、これだけの円安になっても貿易収支は赤字であるくらいに稼げなくなっているというのが実態のようです。

悲しい円安、悲しい日本