「毒をもってアルツハイマーを制す」という記事

毒蛇のハブが持つ毒素から精製したタンパク質分解酵素が、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドベータを分解することを東北大学などの研究グループが発見した

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ハブ毒は11種類のメタロプロテアーゼを含む多くの成分によって構成されている。メタロプロテアーゼの働きによって、ハブに噛まれた人は内出血や血液凝固を起こす。

人間が元から持っている酵素がアミロイドベータを分解していることが分かっていた。進化の過程で、ハブは蛇毒に改変していったが、酵素の大本は共通祖先から分岐しているのだろう。

この分解酵素と蛇毒メタロプロテアーゼの構造が似ていることに着目してハブ毒の11種類のメタロプロテアーゼから9種類を取り出してアミロイドベータに作用させたところ、無害なアミノ酸が結合したペプチドに分解された。

しかし、蛇毒メタロプロテアーゼは、あくまでも毒なので細胞も死んでしまう。

アルツハイマーの薬としては、エーザイが開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」が8月、厚生労働省専門部会から製造販売の承認を了承されたが、年間薬価が380万円もかかる。

現状では、ハブ毒の9種類のメタロプロテアーゼそれぞれの作用を見極めながら、毒性を抑えてアミロイドベータのみを分解することができるかにかかっている。

ハブ毒に11種類ものメタロプロテアーゼが用意されているのは、それぞれが役割をもって攻撃するようにできている。血を止まらなくする、筋肉を壊死させる、神経を麻痺させるなど、どれかが有効であれば餌として捕食できる。

そんな毒が、人間の役に立つのはいつの日になるのか!