なぜ日本人は英語がダメなのか

ジョン・マーク・ラムザイヤーはハーバード・ロー・スクールの教授。この人は、2020年に「太平洋戦争における性契約」("Contracting for sex in the Pacific War")と題する論文を書いて物議をかもした。

慰安所側は(要約)、

(1)売春婦(慰安婦)が被る危険と不体裁を埋め合わせるのに十分で、
(2)前払いと短期契約を求めた。
この帰結として、慰安婦と慰安所は、(1)多額の前金と最長でも1~2年の契約期間、かつ(2)十分な収益を上げれば早期に退職できる年季奉公契約を交わした

との主張に、韓国のみならず、ハーバードでも問題になったが、学会誌側は、「懸念の表明」を維持しながら論文を撤回しないとのこと。

論文に否定的な意見としては(要約)、

1.証拠といえるほどの裏付資料がないにもかかわらず、はじめから雇用契約としていること
2.女性らに合意があったと言える信頼できる根拠を示していないこと
3.慰安婦は報酬を得ており、また、自由に仕事場を去ることができたと、一方的に仮定していること
4.何の理由も論理的な説明もなく日本の軍や政府の関与を認めていないこと
5.ゲーム理論の名で事態を解釈・説明したからと言って、それでそもそも搾取や強制がなかったということにはならないこと

論文の根拠となる韓国人慰安婦の募集契約書をラムザイヤーが提示できればまだしも、歴史考証にエビデンスなしでは論拠にかけているという指摘には、イデオロギーとは関係せずに学術論文としての信頼性において疑問が残るとして否定されるのは仕方のないこと。

このほかにも「被差別部落問題に関する論文」でも主張を裏付ける証拠を示していないと非難されている。「関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する論文」というのもあって、「朝鮮人が暴力的な行動を取ったという主張」の部分は、「日本消息筋から聞いた噂に過ぎない」と弁明して事前公開サイトから論文を削除している。

と、こうした人物であるけれど、今朝、YouTubeでみた(少しインチキ臭い日本ヨイショ系)ラムザイヤーによる、「日本人の英語が全然ダメな理由」には納得がいった。

YouTube で語られるラムザイヤーは、日本が文明開化をし西洋化していったときに何から始めたかというと、海外の用語をすべて日本語にし、医学も工学も法学も経済も哲学も薬学もあらゆる西洋の学問を日本語にしたことで、明治以降の日本の国力が急速に向上することとなったという説明。

自国の言語水準が欧米に比べて劣っていると、一般には先進国の言語を取り入れ、その言語を通じて国家の知的水準をあげていくことになりますが、それでは一部のインテリ以外は置いてけぼりになってしまいます。

日本は西欧の知識を日本語化し、その日本語による知的理解によって学問のレベルを引き上げてきたわけで、おそらく英語、ドイツ語、フランス語(かつてはオランダ語)圏以外には見当たらないように思います。

ここが、明治期の日本人の知性による国家・国民に対する貢献でしたが、ITに業界に限らず、昨今の知的優秀者においては、英語の読み書きを以ってインテリを自認する傾向が高いようですが、海外の先進的概念を日本語による概念に切り替えるだけの日本語言語能力が欠如しているといえるでしょう。

よって、IT以外にも様々な先進的知識においてカタカナが横行することとなり、日本語としての概念形成ができなくなっています。日本語化できないカタカナ語が氾濫しだしていることなども、国力の低下を感じます。