「セキュリティ・クリアランス」続き

高市大臣がご執心のセキュリティ・クリアランスですが、ポイントは人に与える資格として、その人の適格性を審査しなければならないこととなると、思想信条にまで踏み込まざるを得なくなります。

特定秘密保護法では「適格性(信頼性)審査」ではなく、「適正評価」としてぼかしているようです。その前提に「日本にはスパイがいない」ということか、あるいは「職員の中にはスパイがいない」という「無謬」があるのかもしれません。

常識的に階級が上がるほどにセキュリティレベルの高い情報に接することになるわけで、昇給する都度に厳しい適格性審査が行われることになります。欧米の企業では、そんなことは当たり前でなのでしょうが、日本では、一般的に昇給は恩賞的な与え方になっており、勤続年数と上位者の引きによってより高位のポストが与えられるのが普通になっているので、昇給の前提として資格審査があるのは馴染めないのは当然のことのように思います。

防衛関係では「日米軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」が締結されており、法制化が回避できなくなったこともあって安倍政権において「特定秘密保護法」が可決されています。といっても強行採決だったような記憶があります。

そもそも、政治家の例外とするべきではないでしょうが、その辺はどうなっているのかは調べてみる必要がありそうです。海外にいざ知らず、日本の政治家も信頼に足らない人材が少なくないでしょうから。

ポイントは、「有害活動の有無」「家族を含めた国籍などの情報」「前科・懲戒の履歴」「情報にかかる履歴」「薬物の使用」「精神疾患」「飲酒傾向」「経済状況」などを入念にチェックすることとなります。

そもそも、日本では「インサイダー」と言う言葉に対する明確な定義がされていないそうです。簡単に言えば「合法的なアクセス権を悪用すること」とのことで、株などでは「インサイダー取引」として立件されることもありますが、特定秘密に対するインサイダーとして立件されるニュースは、あまり目にしません。

かつて、ネット業者から大量に登録者の情報が持ち出されたことがありましたが、内部の犯行でした。ソフトバンクではロシアのスパイに情報を渡していたとして立件された事案もありました。

特に中国は、中国人の海外労働者に対してスパイ行為を働くように指示されれば、中国人である限り拒むことができないという縛りがあるので、率先してやるのか、拒めなくてやるのかは忠誠心次第であるけれど、指示に従わざるを得ないというお国の事情があるので、セキュリティ・クリアランスが法制化されれば、かなりスパイ活動がやりにくくなることは明らかなことではあります。

特定秘密がデジタルデータであるならば、アクセスに対する厳密性を極限まで上げることはできると思いますが、アナログデータ(紙や音声)や記憶になると防衛はかなり難しくなります。

この手の話はイタチゴッコになるので、賢い人たちが集まっていい答えを出してやってもらうしかなさそうです。

日本の企業や役所の幹部や、特には政治家にロートルが多すぎて、特に最新のITを巡る話には、あまりにも「不理解」「不認識」であることが最大の問題点であるといえます。