マニュアルと手順書

生成AIに「マニュアルと手順書には違いがあるか」と尋ねると、

マニュアル

マニュアルは、業務の全体像やフローを把握し、業務にあたって必要なノウハウや業務の進行方法などがまとめられたドキュメント

とのことで、

職務手順書

職務手順書は、作業プロセスが解説されており、作業の工程や単位作業の進め方について詳細に記されたドキュメント

というような回答でした。

これは、マニュアル制作会社などでは常套的に語っている内容です。しかし、一般的には家電やカメラなどを買ってくるとついてくるドキュメントを通常は「マニュアル」あるいは「操作手順書」のように呼びます。つまり、「マニュアル」と「手順書」は同義として使われていますが、マニュアルで生業(なりわい)をしている向きには、彼らの独自の解釈と定義が存在しているようです。

そこで、生成AIに「アメリカと日本でマニュアルに違いがあるか」を尋ねてもはかばかしい答えは取得できませんでした。

辞書で調べてみると「使用説明書。取扱説明書。手引き書。作業の手順などを体系的にまとめた冊子」とあって、このほうが普通感覚で納得がいく感じの説明です。

ただ、「マニュアル」がそのまま日本語化しているので、あまり「マニュアル」という言葉を使いたくありません。なぜなら、生成AIが言うような勝手な解釈も横行してしまう懸念があるからです。

高級な材木に「紫檀」というのがあって、家具屋に行ったら「本紫檀」とされた座卓がありましたので、調べてみると、そもそも「紫檀」自体が俗称で、学名は「ダルベルジア」というのだそうです。つまり「本紫檀」には本物も偽物もなく、俗称なわけです。でも、「ダルベルジア」を「紫檀」としただけ昔の人はえらいです。

今時の人は「マニュアル」を、そのまま日本語化して、そこに勝手な解釈をして商売しようとしているようなので、本当のことを知っている人に聞いてみたいと思っています。

WIKIPEDIA

マニュアル(英:Manual)ないし手引書(てびきしょ)とは、ある条件に対応する方法を知らない者(初心者)に対して示し、教えるために標準化・体系化して作られた文書である。

行動や方法論を示した手引書やマニュアルは、状況に即してどのように対応すべきかを説明したもので、これは所定の社会や組織(企業などを含む)における各個人の行動を明文化して示し、全体に一貫性のある行動をとらせるものである

敗戦してGHQが乗り込んできたときにJob Description(JD)とManualをセットで持ち込んだのに、JDは定着せずマニュアルのみが定着したという話をどこかで目にしましたが、生成AIは、それは事実だと回答してきています。

JDで人材を雇用し、雇用した人材にマニュアルで職務に精通してもらうという流れを考えると、Job DescripttionとJob Procedureがペアであると思うのです。「Job Procedure」つまり、「職務手順書」は「職務記述書」と対をなすべきドキュメントじゃないでしょうか。

そこの契約書があって、報酬が決まってくるような労働の世界が日本に定着するようなこととなると、真っ先に不要になるのが経営幹部と中間管理層になりそうです。また、そうなることで企業は風通しがよくなり、イノベーションも起きやすくなるような気がします。

真逆が政治と官僚と大企業。仕事の能力とヒエラルキーを上る能力は、全く別物でヒエラルキーを圧縮することは、実は相当に簡単なことであるが、ヒエラルキーを構成している者たちだけが権力行使で阻害してくるので、ヒエラルキーの一部ではなく、全部を入れ替えれば簡単に解決ができるはず。

経営幹部の「マニュアル」に「泣いて自らを切る」と書いておけばいい。