六方晶窒化ホウ素とグラフェン
「グラフェン」とは、1原子の厚さの結合炭素原子のシートのこと。
ダイヤモンド以上に炭素同士の結合が強く、平面内ではダイヤモンドより強い物質と考えられている。物理的にもとても強く、世界で最も引っ張りに強い。熱伝導も世界で最も良いとされ、電気の伝導度もトップクラスに良い物質である。
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中でも電気的な性質は、量子コンピュータでは、理想的な素子となりうるとされている。ところが、グラフェンを平滑な平面に置く必要があり、当初はシリコンの酸化膜を使おうとしたものの、平滑度で問題があった。
六方晶窒化ホウ素は、平滑であり絶縁体としても優秀なことが分かり、グラフェン研究において不可欠な素材として認識されることとなる。
そこで注目を集めたのが国立研究法人物質・材料研究機構(NIMS)だったということ。グラフェンに関する論文引用数が急増し、NIMSの研究員である谷口さんと渡邊さんの論文引用数が5万7千件になったそうです。
窒化ホウ素とは、窒素とホウ素による化合物。炭素を挟んでいる元素であり、炭素と似ている点も多いとのこと。
炭素には常温常圧で安定な黒鉛と高温高圧で安定なダイヤモンドがあるように、窒化ホウ素にも六方晶系 (英: hexagonal) の常圧相と、立方晶系 (英: cubic) の高圧相があり、h-BN、c-BNと呼び分けられる。
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グラフェンの研究に用いられるのは「h-BN」の方である。NIMSの動画によると「c-BN」は、「h-BN」を作るときに副産物として生成されていたが、こちらの物質には、また違った使い道があるようだとのこと。
グラフェンが最終成果につながる研究だとして、六方晶窒化ホウ素があったことで世界中で研究が開化できているわけで、基礎研究がいかに重要なことかを示している。
なんでもお金のカサが求められるようになると、基礎研究がおろそかになる。これは政治的な政策だけではなく研究従事者の生き方にも通じる話である。何をもって生き方としての「成功」ととらえるかによる。