突然変異は何に依存しているか

東京大学なのか東北大学なのかは、よくわかりませんが、

ボルネオ島のShorea属の長寿命樹木を対象に、300年以上かけて蓄積した体細胞変異の検出によって、赤道直下の環境で新しく生じる突然変異の速度を正確に推定することに成功しました

前提は、成長が遅い木と早い木で枝が1m伸びる際に生じる体細胞突然変異率を計測すると、成長が遅い木のほうが3.7倍高い変異率が見られたけれど、年あたりで見ると突然変異率は一定であることがわかった。

ということは、枝の伸長に伴う細胞分裂よりも絶対時間に依存して変異が蓄積されていくことを示している。

体細胞変異は個体内ではほぼ中立(無害)だが、次世代に受け継がれる変異は強い負の自然選択(つまり、淘汰されしまう)を受けることを示す結果になっているとのこと。

突然変異が、自然選択に適応して、環境変化などに打ち勝つイメージが強いけれど、それは都合の良いストーリーで、多くの変異は環境に適応できないことの方が多い。

類人猿から変異で分かれた人類は、そのどちらも環境に適応できているわけで、そうでなければもっと雑多な中間種に分かれたかもしれず、変異と選択の関係は興味深い。

人間だけで見てみても、同じDNAを持って生まれる一卵性双生児であっても、受精のタイミングや出産するタイミングのわずかな違いが、個性(体)の違いになっている。

基本機能はほとんど同じでも、このように多様な固体がいるにもかかわらず「種」から逸脱していないのは、種を守るための多様性であるというよりは、孫悟空がお釈迦様の手の内から逸脱できない範囲の自由を無視しているだけのことで、逸脱すれば環境圧力で淘汰される。

この固体の違いは結果として環境変化における適応の違いにもなるわけで、世界の人口の3分の1が死亡したとか言われるスペイン風邪でも、3分の2は生き残っている。

熱帯では温暖化によって、多くの種が失われているようだが、それでも適応してくる種や、新種が変異から生まれてくるはずで、適応できないのであればジャングルははげ山になってしまう。

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