膠芽腫という脳腫瘍
注)アイコンの絵はステーキではありません。ミトコンドリアです。
膠芽腫細胞は周囲の健康なアストロサイトからエネルギー生産工場であるミトコンドリアを取り込むことによって、急激に増殖していることが明らかになった。
NATIONAL GEOGRAPHIC
この「ミトコンドリア」を取り込むことを阻止することができれば、膠芽腫の新しい治療法につながる可能性があるとのこと。
健康な細胞からがん細胞にミトコンドリアが移動するという新しい考え方になる。ミトコンドリアは、細胞内でのあらゆるプロセスのエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)のほとんどを作っている。
ミトコンドリアは、
- 細胞が成長するのに十分なエネルギー源があるかどうか、
- 局所環境に危険がないかどうか、
- 運動のためにエネルギーを供給する必要があるかどうか、
- 細胞が自殺(アポトーシス)する必要があるかどうか
を感知する機能も果たしている。
がん化したアストロサイト(脳内を満たすグリア細胞の1)が健康な細胞からミトコンドリアを移動させるのではないかと推測している。
細胞間のミトコンドリアの移動を追跡するため、光を当てると赤く光る蛍光タンパク質でミトコンドリアを標識したマウスに、緑で蛍光標識した脳腫瘍細胞を注入した。
その結果、緑色の腫瘍細胞が、周囲の環境から健康な赤いミトコンドリアを取り込んでいることが確認された。腫瘍細胞の10〜20%が、アストロサイトからミトコンドリアを受け取っていた。
腫瘍細胞は、アストロサイトから健康なミトコンドリアを奪うことによって、より多くの酸素を消費し、より速く成長することができる。
そもそもなぜこのような移動が引き起こされるのかは、まだわかっていないそうだし、治療方法も正常な脳神経を阻害することなく健康な細胞から腫瘍細胞へのミトコンドリアの移動を阻害しなければならないため、そんなに簡単なことではなさそうだ。
海外からの記事には、この手の段階であっても、さも、実現間近かのような記述になっていることが多いけれど、多くは消滅していく。