重粒子線がん治療装置について
治療用重粒子線がん治療装置を世界で初めて作ったのは「日本」だったのだそうです。1993年の事だそうです。
アメリカで研究が開始されたものの確立するには至らず世に出ることはなかったそうです。日本では1984年に装置建設を開始。住友重機機械工業、日立製作所、東芝、三菱電機などが10年かけて世界初の装置を完成させたとのこと。
重粒子線がん治療装置開発の背景として、陽子線がん治療装置の半数以上が海外メーカーによって抑えられている一方、重粒子線装置においては国内メーカーがシェアの大半を占め、世界をリードしているとのことです。
2019年の「日本原子力学会誌」によると日本が主導権を握れる数少ない医療機器だと書いてあります。それから3年経って、世界市場に向けて主導権が握れているのかは調べてはありません。
2019年2月時点で、世界で稼働している陽子線装置は80か所ある一方で、重粒子線施設は12か所しかないのだそうです(2021年2月現在として日本国内で8か所が稼働)。
陽子線装置は「水素(陽子)」を加速させて癌に照射します。一方、重粒子装置は炭素(C)、ネオン(Ne)、シリコン(Si)、アルゴン(Ar)などのイオンを光速の70%くらいの速度にして癌に照射するので、質量が大きい分、装置も難しくなるということです。
「ブラッグピーク」という用語があって、陽子線も重粒子線にも共通する特徴なのですが、「体の表面から入るときは低いエネルギーで入って、特定の深さのところで急激にエネルギーがピークに達した後そこで止まる性質」があることがX線やガンマ線との違いになるとのことです。
2018年から前立腺癌と頭頚部癌については保険適用になっているようですが、現在では適用範囲が広がっていて骨軟部腫瘍、肝臓癌、膵臓癌、直腸癌、子宮頸癌まだ条件に合致すれば適用されるとのことです。
先進医療としては314万円プラス保険適用額で受けられる癌もあるようです。厚生労働省のホームページでは「先進医療に係る費用」は、医療の種類や病院によって異なりますと書かれていますので、先進医療になるのか保険適用になるのかは、個別の確認が必要になりそうです。
2022年9月28日の読売の記事ですが、1ヶ月の医療費が1千万円を超えたケースが1,517件あり、うち162人は2千万円超えだったそうです。1億円を超えるケースではノバルティスの「ゾルゲンスマ(脊髄性筋萎縮症)」を使ったケースだとのことで7人いたそうです。
「ゾルゲンスマ」については、また、別途。