金利と人材流動
物価が4%上がっているのに銀行金利はほぼ0%。ということは、実質的には「ー4%」になっている。これが続けばもっと円が売られて外貨に向かっていかざるを得ない。
かといって金利を正常化させようにもできない背景として、短期の変動金利でお金を借りている企業や住宅ローンは、金利があげられれば大変なことになる。
そこで、金利は上げることができないから通貨安になっていく。ということは100円の同じ物が104円になるという具合で企業は儲かることになるので株価が上がっていく。
長期金利も上げるべきところ、債務残高が1000兆円を超えているので、次に発行する国債の金利をあげていかなければならなくなる。となると、次なる財政出動する都度に金利分だけ目減りしてくる。
労働市場で考えると10代は60代の6割しかいない。かつて10人雇えたところが6人しか雇えないことになる。そうなると海外から人を入れたいところであるけれど、日本の賃金は韓国より10%ほど安いので、海外から労働力を入れることは難しい。
力がある企業は賃金をあげていくので、その企業が売る商品やサービスは値を上げていく。この競争についていけなくなる企業は淘汰されていくことで、人材が流動化していく。
賃金は物価上昇率より1、2%は上げないと、上がった感じがしない。現状の物価上昇率は4%だから5%か6%の賃金アップは必要になる。
賃金を上げられない企業は、淘汰されて行かざるを得ない。賃金を上げるなら、価格も上げなければならないという循環に入ると、日銀も金利を据え置くことには限界がある。逆に、低金利だから生きてこられた企業(ゾンビ企業というらしい)にとって、金利上昇は淘汰の対象となっていく。
その時に、労働市場の流動性を考えた法改正(解雇に関して)などをしておかないと、そこがさらなる重しになっていく。
銀行が外貨預金を進めだしているのは、ドルが欲しいからである。さらにいえば、日本国債が格下げになると集めるドルの手数料が上がってしまう。つまり、メガバンクは、日本国債の格付けが下がることを予見している動きとも思える。
では、今後の展望はどうなるのかというと、円安はさらに進まざるを得ない。通貨が下がれば相対的に価格が上がるから、つまり、株価は上がる。
結局は、変動しているのは「通貨」ということで、これが上がらない限り国力は上がらない。アベノミクスは円安を誘導した。つまりは日本国の国力を売り飛ばしたことであった。やめるべき時にやめられなかったことが失敗になってしまった。
人口は減り、通貨は力を失い、輸出するだけの国内生産も振るわない。エネルギーや食糧は輸入に頼っている。政治は腐敗している。どの方向を見ても改革の余地が有り余っている。
たしかに、江戸時代は変革しなかったことで平和でいられたが、世界を相手にできなかった。そこで変革せざるを得なくなることで、旧勢力を排除して能力市場の体制返還が行われた。
ここからが正念場。若者にとってチャンスが到来するはずである。明治元年において伊藤博文は27歳だった。