信用創造
「銀行が貸し付けによって預金通貨を創造できる仕組み」のことを「信用創造」という。銀行が有する「貨幣を生み出す」役割のことでもある。
もっと、違う言い方をするなら「銀行が返済能力のある企業等の資金需要に応じて、借り手の預金口座に貸出金相当額を記述し、預金通貨を生み出すことを指す」と言い換えるる言ことができる。
預金されているお金を貸すのではない。借りた人の口座に数字を書きこむだけである。返済能力のある企業に借り入れの資金需要があれば、信用創造の規模は理論的には無制限であるが、現実的には銀行の貸し付け可能な限界点には制限が課せられている。
つまり、銀行はどこからともなくお金を生み出しているのである。つまり、銀行は貸し出すことで「預金」を創造していることになる。
銀行は借り手に返済能力があると判断する限り、いくらでも貸出しに応じることができる。現代のような複雑かつ大規模な資本主義経済が可能になったのは、その中心に、銀行による信用創造があるからである。
日本政府は私企業とは異なり、民間銀行に口座を保有しておらず、円に関する預金口座は日本銀行のみに開設している。
銀行が国債を購入するには、銀行が日本銀行に保有する当座預金残高を利用する。
- 銀行が国債(新発債)を購入すると、銀行保有の日銀当座預金は、政府が開設する日銀当座預金勘定に振り替えられる
- 政府は、請負企業に政府小切手によってその代金を支払う
- 企業は、政府小切手を自己の取引銀行に持ち込み、代金の取立を依頼する
- 取立を依頼された銀行は、それに相当する金額を企業の口座に記帳する(ここで新たな民間預金が生まれる)と同時に、代金の取立を日本銀行に依頼する
- この結果、政府保有の日銀当座預金(これは国債の銀行への売却によって入手されたものである)が、銀行が開設する日銀当座預金勘定に振り替えられる
- 銀行は戻ってきた日銀当座預金でふたたび国債(新発債)を購入することができる
wikipedia
銀行は受け入れた預金を基礎に国債を購入するわけではなく、逆に、政府が国債を発行し、銀行がそれを購入することによって、預金が創造される。政府の支出は民間企業の貯蓄となる。つまり、政府の財政赤字が民間貯蓄を生み出していることになる。
「政府の赤字は、みんなの黒字」ということの一面の真理ではある。
貨幣に対する考え方で、最近の考え方(現代貨幣理論)では、「お金を借りて事業を発展させたい人が増えた結果として貨幣の量が増加する」と考える立場がある。「貨幣(資金)の供給量を増やせば消費活動が増えて市場が活性化し、減らすと過熱し過ぎた市場を正常化する」という考え方とは少し違っている。
現代貨幣理論では、貨幣の価値は「納税」に使えることだとしている。政府は負債が増えれば貨幣を発行すればいくらでも返済できる。よって、赤字を補填することを考えるのではなく、インフレにならない範囲で国は支出をするべきだというのが「政府の赤字は、みんなの黒字」の原点であり、「MMT」の考え方ということになる。
貨幣で納税するためには、先に貨幣が無ければ納税することは出来ない。政府からすれば、発行した貨幣が納税で戻ってきただけということになる。
とはいえ、どちらの考え方にも、すっきりした落としどころを見つけることができないので、「曰く不可解」であり、金利が絡むとさらに分からなくなる。
財政出動すれば土建屋は儲かり、高級車や高級時計が売れる。土建屋は飲み屋におお金を落とす以外に、政治家に献金をするから政治家も儲かる。だからといって、庶民の生活が豊かになるわけではない。
景気が良くなるとは給料が上がること。それだけのことで、そこには現代貨幣理論であろうが旧来貨幣理論であろうが、全く関係はない。給料が上がればお金を借りる必要もなく、そこに信用を創造する必要もない。
よって、経済の結論は大学で学ぶ必要はなく、「円高にすること」「貿易を黒字化すること」「賃金を物価以上にあげること」で、現状を打破することができる。