自己免疫によるがん治療
ちょっと前のことですが、NHKのクローズアップ現代で「CAR-T細胞療法」ということで北海道大学の先生が説明をしていました。
CAR-T細胞療法は、患者さん自身が持っている免疫細胞の一種、T細胞を血液から採取して、がんと戦うように強化してから体に戻す
と言う「血液癌」に特化した治療法だそうです。
2022年7月現在で4つの製品が承認(厚生労働省に)されているのだそうで、「高額療養費制度」が適用されるそうです。
対象となる癌は「白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫」などになります。だれでも、どこでも治療を受けられるわけではなく条件がいろいろあるようですが、大きな前進にはなっています。
まず、患者の血液からT細胞を取り出し、製薬会社に送るとそのT細胞にウイルスを使って対象とする癌と戦えるように訓練をします。そのための戦い方を「CAR(Chimeric Antigen Receptor, キメラ抗原受容体)」と呼び、訓練を受けて強化したT細胞を患者に戻して癌と闘わせます。
ポイントは「自分のT細胞」と使う点で、いわば特注、オーダーメイドになります。効果は白血病で7~8割、悪性リンパ腫で5~7割だそうですから圧倒的と言えそうです。
1患者当たりの金額は製品によっていくらかの際があるようですが3千万円を超えます。その理由の一つは日本での開発ではないため知財(いわば知恵に対する利権)コストが多大なためだと思います。
この手のウイルスを使う治療法に対して日本の政府として引き気味であることがワクチン開発で後発になっていることと、新薬の承認過程に意味不明のつまらない組織が多重に関与していることなどが挙げられています。
それと、副作用に対して大げさな対応を、あたかもの倫理として金科玉条にしてしまっているため、副作用の出ない(軽い)多くの人々の救済を怠っているという問題に対して正面から取り組めない政治判断が阻害要因として横たわっている気がします。