H3ロケット打上げ失敗原因調査状況H3ロケット

H3ロケットは2023年3月7日10時37分55秒に、打ち上げましたが、第2段エンジンが着火しなかったことにより指令破壊信号を送出して、打ち上げに失敗しました。

ロケットは第1段・第2段分離まで、計画どおり飛行したとのことです。

破片はフィリピンの東沖に落下したようです。打上げに係る情報の一部として国土交通省および海上保安庁等に対して事前に通知しているエリアであり、通知先各機関により、航空機および船舶に対する安全確保に係る対応(航行規制および規制情報の周知)を実施頂いているエリアであったとしています。

エキサイタ内部で軽微な短絡があった可能性。絶縁不良は過去に複数見つかっており、検査工程で品質を保証できると考えていたが、それ以上の対策を行っていなかった。

エキサイタは、エンジンに点火するために火花を発生させる部品。

トランジスタに故障が発生していた可能性。トランジスタに過電圧を与えていたことが分かり、故障した可能性があった。このトランジスタはH2から使用されており、耐電圧超過の可能性を検討していなかった。

最後の可能性は、定電圧ダイオードが短絡故障すると異なる系統に影響が伝播することが確認された。これは電源を二重化したことが裏目に出たようだ。

これらが背後要因であるが、これ等のさらなる背後要因として「コスト削減」があった。というのは試験の内容によっては、本体を破損させなくてはならず、それは多大なコストを要するわけです。

また、電気系統のエンジニアが不足していたことも反省点としてあがっており、増員することにしているようです。

打ち上げ時の送信データが少なかったため、原因ヵ所の特定ができなかったため次回の打ち上げからは毎秒512回データを送信するようです。

過電流検知が過敏すぎたかもしれず、8ミリ秒から1秒に延長するとしています。これで動作継続の向上が図れるようです。データ送信のサンプリング周期が31.25ミリ秒だったため、その間に異常が検知されると電源遮断になってしまいました。

この改良で1秒以内の瞬間的な短絡事故であるなら動作を継続できるようになります。また、電源の二重化をしていても、遮断ロジックが同一だったため、異なるロジックで遮断の判定をするように改良するとのことです。

ビジネス化する以上は、コストは重要な要素になりますが、安全が確保されたうえでのコスト低減策でなければ信頼性の疑問が生じ、結果としてビジネスとして成立しなければ打ち上げコストを下げることは出来ません。

難しい選択ですが頑張ってほしいです。三菱重工は旅客機で失敗しているので、なんとか失地を回復してほしいものです。