「1500万人の働き手が消える2040年問題」再読
円安は、輸出企業の利益を増やす一方で、中小企業の売上を減らし、家計の実質所得を減少させている。また、2%インフレ目標は消費を減らし、経済成長を押し下げている。
円高で日本経済が壊滅するとの懸念から、政府は円安を誘導した。円安は、日本の労働者の購買力を低下させ、大企業の利益を増加させる。
具体的には、以下の点が問題として指摘されている。
- 円安による輸入物価の上昇は、家計の購買力を低下させ、消費を抑制する。
- 円安による企業の利益増加は、賃金の上昇につながらず、格差の拡大につながる。
- 円安による株価上昇は、高額資産保有者に富が集中する。
政府は、円安の弊害を軽減するために、以下の対策を検討する必要がある。
- 輸入物価の上昇を抑制するための対策
- 企業の利益を賃金に還元するための対策
- 高額資産の課税強化による格差是正
これらの対策が講じられなければ、円安は日本の経済成長と社会の安定を脅かす問題となる。
求人難による賃金の上昇は、賃金総額を上げることができず、消費総額を上げられない。また、賃金上昇はコストを引き上げ、企業の利益を減らし、物価の上昇につながる。
実質賃金は低下しており、賃金が若干上がったとしても、物価上昇率を上回ってはいない。
以上は、2015年出版の野口 悠紀雄さんによる「1500万人の働き手が消える2040年問題」という本の部分ようやくですが、ほぼほぼ、現在の様相を言いえています。
また、主に安倍政権で行ってきた法人税減税は、海外企業との競争において有利にするためと称していたが、野口さんの意見では「内部留保や配当が増える」だけで、競争力向上にはつながっていないと指摘しています。
法人税は利益にかかる税であり、コストではない。
法人税を引き下げることで企業活動が活性化することはなく、内部留保や配当が増えるだけである。
法人税引き下げ分を賃金に回せばコストアップになり利益額が減少する。
2012年の法人税率引き下げは競争力向上につながっていない。
法人税を減税する傍らで消費税を上げてきました。企業にとって競争力にはさほど足しになっていない反面、内部留保と配当は増えていますが、消費税を上げ続けた結果、実質賃金は下がりっぱなしで消費が低迷してしまっています。
つまりは、経団連の言いなりの自民党政治は曲がり角に来ていると言えそうです。かといってほかの選択がないのが日本政治の現実といえるでしょう。
しかし、そうした諦観が自民党の一党支配を作り、利権政治を温存させ、腐敗構造が蔓延する結果となっているのは、ひとえに自民党政治家のせいではない。それを選んでいる、あるいは、そうした状態に無関心でいる有権者が作っている。
それが民主主義という政治制度の本質であるということ。政治の質が悪いのは、政治家のせいであることは間違いがないのですが、かれらも政界に自生したわけではなく、有権者が選んでいるわけですから、すなわち、政治の質の悪さは有権者の質の悪さだということになる。
パーティーをやろうが、裏金を作ろうが、異様な宗教団体に摺り寄ろうが、増税しようが、官僚の意のままの政治であろうが、経団連の言いなりの政治であろうが、格差が拡大しようが、実質賃金が下がり続けようが、そうした現状を作り出しているのは「有権者」の選択によるということだけは厳然たる事実なのである。