「枕草子」が描いた世界《其の18》
藤原定子の父である藤原道隆は大酒のみであった。「大鏡」には、下賀茂神社で2升くらいの酒を飲み、牛車の中で寝ているうちに上賀茂神社に着くと、酒に酔っている風にも見えなくしゃっきとしていたというような記述もある。 淑景舎とは […]
「枕草子」が描いた世界《其の11》
207段は「笛は横笛、いみじうをかし」の続きになる。一条天皇が笛や琴をたしなんだのは、単なる趣味ではなかった。 『権記』長保五年(1003) 六月二日。庚申。参内。阿波国前々司忠良・前司安隆等の過を定め、(日給の簡から) […]
「枕草子」が描いた世界《其の06》
宮に初めて参りたるころ、ものの恥づかしきことの数知らず、涙も落ちぬべければ、夜々参りて、三尺の御几帳の後ろに候ふに、絵など取り出て見せさせ給ふを、手にてもえさし出づまじう、わりなし。 177段 清少納言が藤原定子の女房と […]
「枕草子」が描いた世界《其の01》
「枕草子」に触れたことから、「大鏡」の現代訳を読むことになりました。いまは、現代訳の「源氏物語」を読んでますが、自分にとっての総合的な価値は「枕草子」が上だと思っています。 「枕草子」は文学的価値よりも、ドキュメンタリー […]
「枕草子」が描いた世界《其の10》
207段は「笛は横笛、いみじうをかし」で始まる。 遠くから聞こえて、だんだん近づいてくるのもいいし「近かりつるが、遥かになりて、いとほのかに聞ゆるも、いとをかし」とし、懐に携えていつでも吹けるようにしているようなしゃれた […]
「枕草子」が描いた世界《其の03》
藤原定子の兄の伊周(これちか)が内大臣の時に、紙の束を伊周が妹の定子に献上した。当時の紙は非常に高価なモノであり、同時に伊周は一条天皇にも紙の束を献上していた。 天皇は「史記」を書き写すことにしたと聞いて定子は醍醐天皇が […]
「枕草子」が描いた世界《其の13》
枕草子の主人公と言えば「藤原定子」。それを支えているのが一条天皇になる。主要なわき役としては定子の兄の伊周。枕草子では貴公子として描かれているが、大鏡では短慮でどうしようもない若者くらいの書かれ方でしかない。書かれている […]
「枕草子」が描いた世界《其の15》
993(正暦4)年、藤原伊周が定子に紙を上げる。その半分は、帝(一条天皇)に献上していた。定子がもらった紙があったので「枕草子」が書かれることとなる。 定子に原子という妹があり、原子は東宮の居貞新王(三条天皇の東宮時代) […]
「枕草子」が描いた世界《其の17》
紫式部は、清少納言の「枕草子」を熟読していた節が、散見される。 屋の上は、ただおしなべて白きに、あやしきしづの屋も雪にみな面隠しして、有明の月のくまなきに、いみじうをかし。 白銀などを葺きたるやうなるに、水晶の滝などいは […]
「枕草子」が描いた世界《其の24》
長徳2(996)年2月に清少納言は藤原斉信(ただのぶ)の来訪を受けた。斉信の祖父は藤原師輔で、伯父の子らが藤原道隆や道長となる。 斉信は、当初は道隆の中関白家にした親しく出入りしていたとされるが、道隆が薨去すると道長に接 […]