「ジェームス・カーティス・ヘボン」から考えたこと

「ヘボン」とは、本人が日本における呼び方としたことで彼固有の表記として定着しているが、通常は「ヘップバーン」になるところ。東京で明治学院(現在の明治学院高等学校・明治学院大学)を創設して初代の学長に就任するなど、日本の教育にも貢献したとwikiに書かれている。

1815(文化12)年生まれ。プリンストン大学を卒業し、ペンシルベニア大学医科に入学。1836年にペンシルベニア大学を卒業し、医学博士(M.D.)の学位を取得。

1859(安政6)年に横浜に到着。1863(文久3)年、横浜居留地に男女共学のヘボン塾を開設。高橋是清、林董(蘭方医佐藤泰然の五男)らが学んでいる。

1867(慶応3)年、日本初の和英辞典である『和英語林集成』を出版。1911(明治44)年死去。

『和英語林集成』には「身分」という語彙が初めて取り上げられている。ヘボンは「身分」を「place, social position, condition, rank, station in life」としている。実質的に身分に該当する英語としては「ID(identification)」であるが、これの直訳的意味は「正体」に該当する。

「身分」が「社会的位置」「順位」としているところに江戸時代の特質が現れている。中世の辞書には「分際」「分限」という語彙が見つかるが「身分」という語彙は見つからない。

いまだに「身分証明書」という言葉が使われているが、これは所属する組織を本人証明の前提としている。

会社を守るためとして就業者を「非正規雇用」にしておきながら、片や階段を1段ずつ上がってきた正社員は自己の「corporate position」を既得権益化している。この昭和型の人材管理こそが、イノベーションを阻害し組織の新陳代謝を阻害している。

「部長」とは「課長」の1ランク上という順位などは企業にとって重要なことではなく、企業の規模や置かれている状況に応じた「部長」能を保有している人材を就業させることで企業が飛躍することができるはずである。

こうした昭和型昇進制度の悪弊を改めることが「ジョブ型雇用」の原点であり、原則である。これは専門職のみならず経営幹部こそが率先するべきであるが、この悪弊を改めるべき権限を持つ「corporate position」に存する人材が、自らを含めて改革することができるかは大きな疑問となる。

それはまさに日本の政治を見れば歴然としている。山本五十六は日本海海戦では少尉候補であったが、日本海海戦と太平洋戦争とでは戦法に隔絶があり、イノベーションが不可欠であったことから鑑みれば、70代、80代の政治家や企業幹部に期待するべきものは、ほとんどない。

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