消費税とインボイス

消費税は世界では「付加価値税」と言っている。付加価値税(VAT)は、製造から小売りに至る複数の段階で課税される税金で、流通の多段階で創出される付加価値に対する税金をいう。

GATT(関税及び貿易に関する一般協定)は、関税や各種輸出入規制などに関する貿易障壁を取り除き、多国間で自由貿易を維持・拡大するために締結された国際協定のこと。

GATTでは、自国企業だけに補助金を与えるのは自由な貿易に反するとの理由で、法人税を下げることが禁止されており、フランス政府は、自国の輸出企業に補助金を出せないかと考えだされたのが付加価値税といわれている。「直接税」であった付加価値税を、「間接税」として導入した。

通常、企業は利益に対して法人税がかかるが、経費として人件費等を差し引くことができる。利益が出なければ法人税は治めないが、消費税は売価(消費税込み)の110分の10から仕入れ価格(消費税込み)の110分の10を差し引いたものが消費税として事業者が納税することになっている。

つまり、仕入れ価格以外に人件費などの経費は認められない。よって、事業が赤字であっても納税義務が生じることとなるのが消費税である。

消費税としてレシートなどに記載されるので、あたかも消費者が納税し、事業者が預かるような印象が操作されているが、消費税は全て本体価格に組み込まれている直接税であり、消費者が負担しているわけではない。そこをあたかも消費者が負担しているような印象を植え込んでいるだけ。

よって、免税事業者が消費税をネコババしているというような話が流布することとなっている。たしかに免税事業者が消費税を本体価格に上乗せして請求することはインボイスによってしにくくなるが、単に消費税分が必要であるなら本体価格を値上げすればいいだけのこと。ただし、価格は需要と供給と力で決まるから、それが通るか通らないかは免税事業者と課税事業者の関係次第になる。

この消費税(付加価値税)をフランスが導入したのは、輸出企業の付加価値の税率を「0%」にすることで、仕入れ価格で払った消費税額を還付される。ここがフランスの狙いであって、主要国が導入している。

つまり、輸出企業の売り上げに対する消費税は「0」円であり、下請けから仕入れた消費税込みの仕入れ額(110分の10)をゼロから引くと、そのまま還付されることとなる。トヨタの2022年3月期の還付金は6千億円になっているが、下請け企業には還付されていない。

「還付」とは、本来は納税しすぎた税に対して還付することを意味する。トヨタ肇輸出企業は消費税を1円も収めていないのに還付を受けているのは異常なこと。

それと、消費税の重要な部分として自民党による説明は、社会保障費に回すような説明をしているが、実際は嘘のようで国債で賄っているという話もある。にもかかわらず、消費税を社会保障費に回すというのは、単なるダマしであって、社会保障費そのものを上げると半分を負担しなければならない企業にとっては痛手であるので消費税で賄うようなウソを言い、社会保険料を上げないようにしているだけのこと。

で、消費税を上げると同時に政府が行っているのは法人税の減税である。

結論

インボイスがはじまると、消費税を請求していた免税事業者はインボイス登録しても消費税額を納税しなければならないので意味がない。しかし、免税事業者が登録事業者に登録しなければ、その請求額に対して相殺する消費税額が含まれていないので、登録事業者の負担になるという立て付けにしている。

しかし、免税事業者が消費税を計上していないのであれば「非課税資産」の譲渡になるわけだから、そこに消費税額を課税事業者が負担するべきではない。なぜなら、税を免れている事業者が消費税を計上していないのだからこの部分は税を免れるべきである。

つまり、消費税とは輸出大企業に還付金という形で国際間の競争を優位にさせてやるために導入された間接税で、しかも、間接税の形をとっているが実質は直接税であるということ。

消費税で社会保障を賄うという洗脳をしているが、従業員を多く抱えている大企業の社会保障費の負担を軽減する目的で使われている。

そのうえ、消費税を上げる都度に法人税を減税しているので、その財源にもしている。

ようするに消費税とは「悪税」であるということ。ここでインボイスを導入した政府自民党の魂胆は消費税の増税であることはミエミエである。

インボイスを導入することで、廃業倒産する企業が増えることは予想されるし、免税事業者が減れば、登録事業者の納入価格は上昇する上に、登録事業者の経理事務が煩雑になっていく。

ようするにインボイスとは「悪法」であるということ。

補足

1990年3月の裁判で、「事業者は(消費税の)徴収義務者ではない」「消費税相当分はあくまでの対価の一部に過ぎない」「消費税に対して消費者は何らの義務を負うものではない」と判決されている。

消費税は完全無欠に「直接税」であるということ。だから、輸出企業に消費税を還付しては違法であるということになるのではないでしょうか。そこを争点に野党は国会で徹底的に争って欲しいものです。

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