水素燃料自動車はEVに負けるのか

世界の潮流は「EV」に向かっている。水素燃料電池車(Fuel Cell Vehicle)は、誰も欲しがらない。

輸送分野は世界の温室効果ガス排出量の約4分の1を占める。気候変動における世界最大級の問題の1つ。

EVが化石燃料に代わる選択肢として普及しているが、航続距離不足、充電時間の長さ、充電設備の不足などを心配する消費者も多く、なお課題が残る。

2023年のEVの世界販売台数は1000万台を突破し、プラグイン・ハイブリッド車も約400万台を売り上げた。同じ期間中、世界で販売された燃料電池車はわずか約1万4000台。水素車1台売れる間にEV車は1000台売れる。

電気自動車には充電スタンドが必要だし、水素車には水素ステーションが必要になる。

価格もEV車やガソリン車に比べると、水素車は圧倒的に高い。韓国では政府が支援して水素車を購入する場合、実質的に半額になるような支援をしている。

リチウムイオン電池は供給量が増え続けており、価格も下がっている。それに反してカリフォルニア州における水素価格は上昇している。

水素ステーションでの迅速かつ容易な燃料補給にあるが、水素ステーションの建設は、実際には難しい課題となっている。

EV車は、とりあえず電気があれば充電することができる。

さらに、現在生産されている水素(主に化学製品や肥料の製造に使用され、石油・ガス業界での利用が多い)がほとんど化石燃料によって製造されている。

低炭素水素は航空、海運、重工業を含む幅広い産業で解決策として推奨されている。しかし、乗用車でのクリーン水素の利用は、最も適さない用途の1つだ。

とはいえ、長距離の大型トラック輸送で、水素燃料は役立つ可能性がある。バッテリーはその重さにより、この種の車両の積載能力を制限するため、理想的な選択肢ではない。また、充電に時間がかかることや、大型バッテリーを迅速に充電するための高出力充電器の不足も問題となる。

市場での答えはすでに見えているとはいうものの、やはりガソリンが一番便利であることは事実。中国ではEVをフェリーで運ぶのに台数制限をしているというが、発火の可能性がゼロでない以上、納得できる話でもあり、電池を大量に積めば重量も増える。

製造者からすれば車体さえ作れれば、さほどの技術は不要なようだから価格は抑えられ、過当競争になるから作るメリットがあまりない。

となると、長距離・大型・バス・公用車などは水素。近距離・中小型はハイブリッドが過渡的には利口な選択。まず、政策として住居の少ない郊外に水素ステーションを増やすことが先決。

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